80年代洋楽ヒット曲の歌詞と翻訳、英語解説 ROCK'N'ROLL ENGLISH

80年代洋楽ヒットの歌詞で英語を学ぶ。ロックンロールイングリッシュ

ビリー・ジョエル -New York State of Mind の歌詞と英語

billy joel  turnstyle


大意

Hey, どんなことでもきっと
乗り越えていけると思っていたのに
涙がとまらないのはなぜなんだろう

君はまた行ってしまう
新しい恋人といっしょに

同じことを繰り返してばかりだ
でも、うまく行っていたこともあったじゃないか
忘れたのかい

君が行ってしまうたびに
僕の体ははりさけそうさ

好きなようにしなよ
僕らはちょっと近くにいすぎたのかも
君の体をこんなに感じられても
僕にはどうすることもできない

同じことを言い続けてばかり
だけど、うまく行っていたこともあったじゃないか
君はわかっているはずなのに

君が行ってしまうたびに
僕の体ははりさけそう
そして君は僕のことを
気にも留めてくれない

(訳:発行人)

ポール・ヤング

この人の歌い方が好きです。ポールマッカートニーをイケメンにしたようなルックスと派手なアクションで当時大アイドル扱いでしたが、歌に対する真摯な姿勢は本物だったと思います。ライブエイドでもかっこよかった。まさにソウル・スター、感動的なパフォーマンスでした。

イギリスの歌手にはソウルフリークが多く、彼も間違いなくR&Bの影響を受けています。持ち前のちょっとハスキーな声質で、マイクをわしづかみにしながら、シンプルな歌詞を切々と歌い上げる王道のスタイル。今回の「Everytime You Go Away」のようなバラードでは本当にぐっときます。

その後あまり曲に恵まれなかったのか、フロントラインから遠ざかってしまったのが残念です。

★公式サイト
http://www.paul-young.com/Home.html
*うーん、やっぱりちょっと老けちゃったかなあ…

今回の曲…Every Time You Go Away

1985年の大ヒットです。ダリル・ホールの作詞作曲で、ホール&オーツとしても、レコーディングしていたと思います。

実はこの歌が大ヒットした当時、割とつらい恋をしていまして。夜ごといつまでもぐずぐずとお酒を飲みながら、サビの歌詞を口ずさんでは、ひとり涙ぐんでおりました。
「君が去ってしまうたび、僕の体はひきさかれそう」…。つらかったなあ。



英語歌詞はこちら

解説

■if we can solve any problems, why do we lose so many tears?
「もし僕らが問題を解決できるなら、そんなにたくさんの涙をなぜ失う必要があるんだろう」
でも泣いてしまうのですね。

■when the leading man appears
「本命の男が現れたとき」
leading man「主演男優」。恋というシネマの主人公は別に現れる。自分ではない、ということですね。

■But can't you see we've got everything going on
「(以前は)僕たちは何もかもをうまくやっていたことをわからないのかい」
ここでの
go on 「うまくやっていく、なんとかこなしていく」という感じですね。

everything go on していた、そんな時もあったじゃないか。覚えてないのかい。それなのに君は…。別れが近いとき、誰もがみな思うことですね。そしてほとんどの場合、相手には伝わらない。相手の心にはもう自分はいないから…。
いかん、切ない。つらい。

■Every time you go away You take a piece of me with you
「去ってしまうときはいつも 君は僕の一部分を持っていってしまう
うまく訳せないのですが、「a piece of
自分」を持っていかれてしまう、というのは非常にわかる表現ですね。そして自分は、抜け殻になってしまう…。

■go on and go free
「行けばいいさ 好きにしなよ」
go free 「自由の身になる」「無罪釈放になる」
go という動詞自体に「〜(という状態)になる」という根源的な意味があるのですね。

■I can feel your body move
「君の体が動くのを感じることができる」
feel+目的語+原型動詞→「(目的語が)〜するのを感じる」
知覚動詞(
see, feel, hearなど)の構文としておなじみ。

☆シンプルな歌詞ですが、特にサビの部分は泣けます。

おまけ - 80年代のラブ・アクチュアリー-

「もう、やめようよ…」
「どうして」
「だって、…。会うたび、ケンカばっかりじゃない。合わないのよ、あたしたち」

自由が丘のロックバー「チャーリー・ブラウン」。地下室のような、だだっ広い空間。レンガ模様の壁に、まがいもののロートレックやホイックニーが掛かっている。煙草の煙。グラスに当たる氷のさざめき。

俺たちは大きなテーブルの片隅にならんですわり、おたがいを見ないようにうつむいて、ぼそぼそと話している。いつものマイヤーズのクラブソーダ割り。いつもの諍い。いつものため息。

「そんなこと、ないよ。だいたいマキはいつもさ…」
「ほら、また始まった。ここんとこ、何かって言えばあたしのこと責めてばっかりじゃない。疲れたよ、もう…」
「…だって」
「また…。昔はもっと優しかったよ、ケンは」
マキの目はうっすらと濡れている。酔ったのか、泣いてるのか。

テーブルの上に置かれた巨大なJBLのスピーカーから、ビリー・ジョエルのセンチメンタルなボーカルが流れてくる。
『俺の心はいつも、ニューヨークにあるのさ…』
(もう、だめなのかな…)
くじけそうになりながらも、俺はすっかり氷の溶けたグラスをひといきに飲み干して、もう一度言ってみる。

「俺たち、あんなに楽しかったじゃないか。もう一度やり直そうよ」
「…このボトルと同じよ」
「え?」
「最初はびんの中、いっぱいに入っていたの。あふれるくらいに、あたしたちの気もちが。でももう、ちょっとしか残っていない。ボトルの底、黄金色の、最後の夕焼けみたい。もう沈んで行くしかないの…」

この店の薄闇は優しい。たくさんの2人連れが、あちこちでひっそりと語り合っている。始まったばかりのカップルも、俺たちのように終わろうとしているやつらもいるんだろうな。フルボリュームで音楽はかかっているのに、とっても静かだ…。

(やっぱり、終わりかな…)

認めたくはないけど、そんな思いが胸をよぎる。
曲が変わった。ポール・ヤングだ。ハスキーな歌声が胸に沁みていく。
『君が行ってしまうとき、僕の体は引き裂かれそう…』

(やっぱり、終わりだな…)

ふたりはもう、ことばを交わすこともなく、最後のラムを注いだ。

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デビュー・アルバム。マービンゲイのカバーなど、アメリカではかなりヒットしたアルバム。




シークレット・オヴ・アソシエーション
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